会社概要
Q.
事業内容を教えてください
当社は「リユース事業」と「ホビーの新品EC事業」の2つの事業を展開しています。
「リユース事業」では、個人のお客様から商材をお買取りし、店舗で販売する店舗型リユース業を主に運営しています。国内では販売が難しく他では買い取ることができないリユース商材も買い取ることができる「トコトン買取」を強みとしています。
「ホビー新品EC事業」は、自社サイト「ホビーサーチ」を通じて国内外のお客様にホビー商品を販売しており、2021年7月にM&Aにより連結子会社化しました。業界トップクラスの品揃えと豊富な商品情報により、SEOに強いECサイトを構築しています。
Q.
経営理念等を教えてください
当社は、すべての従業員が目指すべきところとして「ワットマンのこころざし」を共有しています。これはすべての従業員が共通の目標として掲げる大切な価値観です。その内容は、一言で「ニチジョウをミタス」と表現され、社会に貢献することによる満足感や成長を通じた達成感を大切にし、日々を充実させることを追求しています。
Q.
人材マネジメントの方針について教えてください
当社では、人材マネジメントを、「戦略遂行に向けた役割」と「現有人材の能力」のギャップを解消し、成長戦略を確実に遂行するための手段と定義しています。各種施策は、採用、育成、評価、配置の4つの要素と、それらの効果を最大化するための従業員エンゲージメントの向上の観点から具体化されています。
Q.
重要ポジションの採用方針について教えてください
重要なポジションの採用に関しては、短期的なニーズよりも中長期的な視点を重視しています。そのため、採用活動は時間をかけて行い、母集団形成、募集、見極め等を慎重に進めています。
私たちは中長期的に会社規模が拡大し、企業価値が向上することを目指しています。この視点から、「将来必要となるポジションとその要件」を考え、「現有人材のスキル要件とのフィット&ギャップ状況」を評価しています。そして、「ギャップがある場合の解消手段として、採用、育成、評価、配置のどれが最も適切か」を判断し、各種の活動を進行しています。
従いまして、人材獲得手段は採用だけに限定せず、現有人材の育成や評価を通じた成長によっても獲得することも想定しています。
Q.
事業におけるリスクを教えてください
当社は、直近1年間で比較的発生可能性が高く、顕在化した場合、売上高に30%以上または利益額に10%以上の重要な影響を及ぼすリスクを重要リスクとして認識しています。アップサイド面では、「M&Aによる成長」を、ダウンサイド面では、「重要人材のリテンションの低下」や店舗のドミナント展開に伴う「ハザードリスク」を、特にレベルの高いリスクと考えています。
Q.
SDGsへの取り組み内容を教えてください
当社は、事業活動を通じてSDGsの達成に貢献します。基本方針として"Small Start, Quick Win"を掲げ、「できるところから」「すぐに」取り組むことを重視しており、この方針を基に、範囲を段階的に広げながらの貢献を目指しています。その取り組みとして、リユース事業による温室効果ガスの削減やジェンダー平等などを進めています。
業績・財務状況
Q.
連結PLにおける売上総利益率(粗利率)が徐々に低下している理由を教えてください
連結決算における粗利率の低下の主な要因は、ホビーサーチ事業の成長にあります。当社はリユース事業とホビーサーチ事業の2つの事業を展開しておりますが、リユース事業の粗利率は約60%であるのに対し、ホビーサーチ事業の粗利率は約19%です。このため、ホビーサーチ事業が成長することで、連結決算の粗利率が徐々に低下しております。
しかし、同時に売上高に対する販売費及び一般管理費(SGA)の比率も低下しており、連結営業利益は増加しております。
Q.
リユース事業の一部の商材群において粗利率が下落している理由を教えてください
複数の商材をまとめた商材群では、「粗利率の低下を許容することで粗利額を稼ぐこと」があり得ます。例えば、「服飾系」では貴金属、「ホビー」ではトレーディングカードなどは、他の商材と比較して粗利率が低い場合があります。そのため、このような商材の売上が増えると、商材群の粗利率は低下しますが、粗利額は増加することが考えられます。
Q.
決算短信や有価証券報告書における「その他」の品目群には、どのような商材が含まれますか
「その他」としてカテゴリー分けされた商材の中で、売上高が比較的大きいものは、カメラ、スポーツ関連商品、家具、楽器などとなっています。
Q.
過去のIR資料等に「共通費配賦前営業利益」とありますが「共通費」とはどのような費用か、またその配賦基準を教えてください
共通費はグループ各社の本社部門の販管費が該当します。
これを各社ごとの売上高に応じて、各店舗等に配賦しています。
Q.
資本効率の考え方を教えてください
当社は、資本効率の指標としてROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)を重視しています。ただし、成長フェーズにある当社において、ROICやROEへの過度な焦点は成長投資に対する委縮になりかねませんので、そのバランスを適切にとっています。しかし、企業価値を毀損することが無いよう、WACCを上回るROICの創出とエクイティコストを上回るROEの創出は常に意識しています。
Q.
配当の考え方を教えてください
当社は、株主価値の持続的な向上を目指し、配当額は、中期的に比較的再現性の高い『既存事業 営業利益』の状況と、キャッシュの保有状況を基に検討しています。
Q.
自己株取得の考え方を教えてください
自己株取得に関しては、中期的な企業価値向上に資する自己株式取得は常時検討の範疇にありますが、自己資本の絶対額と浮動株比率の現状に配意し、現時点では単年度のROE向上のみを目的とした自己株取得枠は設定していません。
Q.
保有キャッシュの考え方を教えてください
保有キャッシュに関して、経営の攻めと守りの両方の観点から必要額を決定しています。具体的には、攻めのキャッシュとして年間3-5億円程度を、守りのキャッシュとしては、店舗のドミナント展開に伴うハザードリスク対策として、月商の1.5~2か月分、現時点では、10-13億円程度を想定しています。期末のキャッシュ残高からこれらの必要額を差し引いた後の金額を、配当金として分配することを基本方針としています。
Q.
成長投資において注力していく分野を教えてください
現時点では、国内外のオーガニックな成長投資を最優先に考えています。ただし、インオーガニック領域への投資(M&A)も常に検討の範疇にあり、「既存事業と明確なシナジーが創出可能である」もしくは「既存のスキルやノウハウで対象企業のバリューアップが確実に図れる」場合は、積極的に案件を進行しています。
Q.
株主還元の方針を教えてください
株主還元として、配当については、株主価値の持続的な向上を目指し、中期的に比較的再現性の高い『既存事業 営業利益』の状況と、キャッシュの保有状況を基に検討しています。
また、自己株取得について、中期的な企業価値向上に資する自己株取得は検討していますが、現時点では単年度のROE向上のみを目的とした自己株取得枠は設定していません。
Q.
エクイティファイナンスの可能性について教えてください
短期的には、調達の規模感、調達のコスト、調達の機動性等に鑑み、間接金融を主な調達先と考えています。
成長戦略
Q.
2018年以降業績が急改善していますが、なぜでしょうか
のちの改革施策の展開に向け、2016年から約1年半をかけて、人材マネジメントの整備を重点的に行いました。特に、小売業でよく見られる業績偏重型の評価制度を、業績に繋がるパフォーマンスを重視する形に変更しました。この変更が、改革施策に対する前向きな雰囲気を醸成し、その結果、改革がスムーズに定着化。この一連の流れが、2018年以降の業績急改善の大きな要因となりました。
Q.
M&Aにおける対象企業または対象事業の条件を教えてください
現時点では、「当社の既存事業と明確なシナジーが創出できる企業」または「当社のスキルやノウハウで確実なバリューアップが図れる企業」をM&Aの対象としています。
Q.
具体的に進行しているM&Aの案件があれば教えてください
当社は成長戦略の一環として、常にM&Aの可能性を含めた各種の選択肢を検討しています。しかしながら、M&Aの進捗状況については、株価等に影響を与える可能性の高い重要事実に該当するため、具体的な言及は控えさせていただきます。M&Aやその他の重要な経営戦略について、適切なタイミングが来た際には、透明性を確保しつつ、適切に情報開示を行う予定です。
Q.
現時点でのM&Aの全般的な検討状況を教えてください
M&Aについては、常時検討しております。現時点では、おおよそ年間50件以上の案件を検討しています。中長期的に考えた場合に、M&Aを介した成長というものは、ほぼ必ず発生するものと考えています。
Q.
成長戦略を教えてください
現在、当社は2つの成長戦略を中心に取り組んでいます。まず、①オーガニック成長戦略においては、リユース事業の安定した成長と利益の確保を追求し、利益構造改革を中心に基盤の強化を進行中です。次に、②インオーガニック成長戦略として、2021年7月に子会社化したホビーサーチ事業のさらなる拡大を視野に、多角的な施策を展開しています。これらの戦略を実行することで、中期的な企業価値の向上を目指しています。
リユース事業
Q.
当社のリユース事業の概略を教えてください
当事業は、個人のお客様から商材をお買取りし、店舗で商品化し、個人のお客様へ販売する店舗型リユース事業を主に展開しています。『総合リユース事業』、『スピンオフ事業』、『海外事業』の3つから構成されています。
24年3月期実績は、売上高49億円、粗利率63%、販管費率46%、営業利益8.0億円程度(共通費等控除前)となっています。
Q.
当社のリユース事業の競争優位性を教えてください
リユース市場における競争優位性は、買取力(仕入力)の強弱によって決定されます。
当社は、この買取力を高めるために、「トコトン買取」を掲げています。
15分単位で組まれた効率的なオペレーションと、回収から輸出、販売まで一貫して行い
中間コストを徹底排除したグローバル再リユースの仕組みにより、国内では販売が難しく
他では買い取りにくいリユース商材も1点1点値段をつけてお買取りすることが可能です。
この「トコトン買取」の仕組みは、買取のお客様の流入を促し、離脱を防ぐ強みとなっております。
Q.
リユース市場の経営環境の見通しについて教えてください
現在のリユース市場は、インフレや日用品の供給不足に伴う好調な状態にあると認識しています。短期的な変動には外部要因が影響しており、来年や再来年の具体的な動向を断定するのは難しいですが、中長期的に見ればリユース市場にはまだ成長の余地が十分あると考えており、一時的な増減があっても、全体としては成長基調が続くと予想しています。
Q.
当社のリユース事業の一つ、『総合リユース事業』の概略を教えてください
「トコトン買取」を中心に据え、さまざまな商材を取り扱う店舗型リユース事業です。お客様からお買取りを行い、各店舗で商品化した後、別のお客様に販売しています。特定商材への依存度が低く、外部環境の変化に対して柔軟に対応できる特長を持っています。
Q.
総合リユース業態において、時々マニアックな商材を見かけることがありますが、店舗コンセプトを教えてください
私たちの強みは、「トコトン買取」です。その結果、様々な商材がお店に並んでおり、店舗型総合リユースの魅力の一つとして高く評価されています。
当社は多様な商材を取り扱っているため、一見すると店舗コンセプトに統一感がないように感じられることもあるかもしれません。しかし、私たちの大切な考え方は、「この商材は売れる売れない」という主観的な判断ではなく、「お店にお持ち込みいただいた商材は可能な限り適正な価格でお買取りする」という姿勢です。
総合リユース業ならではの「ユニークな商品にめぐり合える楽しさ」を大切にし、お客様に満足いただける商品を提供することを重要視しています。
Q.
トレーディングカードの市場が伸びていますが、ワットマンでの取り扱い状況を教えてください
トレーディングカードに関しては、ワットマンホビー3店舗、ゲームステーション2店舗、フランチャイジーのブックオフ事業8店舗にて取り扱っています。
Q.
足元で強化している商材を教えてください
現時点では、「工具」、「スポーツ」、「オールドゲーム」、「お酒」等の強化に注力しています。
Q.
管理会計におけるリユース事業ネット売上の計上部門を教えてください
ネット売上は、各店舗の売上高に計上されています。
Q.
当社のリユース事業の一つ、『スピンオフ事業』の概略を教えてください
総合リユース事業から特定の商材を抽出し、それぞれを業態として独立させることで、専門性を向上させた事業を展開しています。ロードバイク、カメラ、ホビー、スポーツ&キャンプなど、個別の業態があります。
Q.
決算短信や決算説明資料などで出てくるGS(ゲームステーション)とは何でしょうか
ゲームステーションは、2021年2月に当社が譲受した事業です。神奈川県の上大岡駅と本厚木駅の駅周辺でホビー商材の店舗型リユース業を展開しています。当社におけるホビー商材専門店の出店を速やかに進めるため、事業譲受を決定しました。譲受前は営業赤字の状態でしたが、譲受後に実施したバリューアップ施策が奏功し、直近期での営業利益率は7%程度に成長しています。
Q.
当社のリユース事業の一つ、『海外事業』の概略を教えてください
国内でリユースが難しい商材を海外で販売する事業です。この事業は、「日本国内で商材を回収し、海外に輸出する事業」と「それらの商材を輸入し、海外で店舗を構え販売する事業」の2つから構成されており、後者の部分はタイ王国の海外子会社が担っています。
Q.
海外子会社であるワットマンタイランドの連結決算上の持ち株比率を教えてください
ワットマンタイランドに対する当社の出資比率は49%であり、完全子会社ではありません。連結決算上の持分計算については、ワットマンタイランド株主との提携契約に基づき反映する比率を定めています。
Q.
タイ王国以外の国への出店等の検討状況を教えてください
現在、タイ王国だけでなく、マレーシアやカンボジアへもリユース商材を輸出しています。現地での出店については、投資効率等の観点から検討中ですが、短期的にはタイ王国における投資を優先しています。
ホビーサーチ事業
Q.
ホビーサーチ事業の概略を教えてください
当事業は、自社サイト「ホビーサーチ」を通じて国内外のお客様に新品ホビー商材を販売する事業です。2021年の7月にM&Aにより子会社化しました。2024年3月期実績は、売上高29億円、粗利率19%、SGA率12%、営業利益2億円(のれん償却費等控除前)となっています。
Q.
ホビーサーチ事業の競争優位性を教えてください
当事業は、3つの特長があります。①各商品ジャンルごとに専門のバイヤーが新製品情報を常にモニタリングし、業界トップクラスの品揃えを提供しています。②体系的なデータ入力により、商品の詳細な情報を効率的に提供することで、オーガニック流入を促進しています。③自社開発の基幹システムにより、外部環境の変化に迅速に対応が可能です。これらの特長を生かし、当事業は、SEOに強いECサイトを構築し、ホビー販売市場で一定の競争優位性を築いています。
Q.
ホビーサーチ事業の季節変動について教えてください
ホビーの季節的動向として秋から年末にかけて需要が増加する傾向があり、概ね12月にその年の最高売上高を記録しているため、主に年末・年始にかけて売上高が増加する可能性が高いと考えています。
Q.
貴社はSGAの適正化を得意としていますが、ホビーサーチM&A後のSGA適正化状況を教えてください
ホビーサーチにおいては、当社のM&A前より売上高向上への貢献度が低いSGAはほぼ発生しておらず、概ね適正化されている状況でした。短期的には、上場企業の決算・ガバナンス等に適合させるための一過性費用、及び一過性とは言えないもののスピード感を求めるために割高になっている費用が発生していますが、これらは中期的には徐々に適正化されていく想定です。
Q.
ホビーサーチ事業の売上計上タイミングについて教えてください
2021年4月の「収益認識に関する会計基準」の適用を受け、決算における売上高計上のタイミングを、特に海外顧客においては、商品の顧客引渡時点としています。
Q.
ホビーサーチ社の買収価格を教えてください
ホビーサーチ社の買収額は相手方との協議により非公表です。2021年7月のホビーサーチ社買収に係る決算処理につきましては、2022年3月期有価証券報告書に記載の通り、発生したのれん額[290百万円]、のれんの償却期間[10年間にわたる均等償却]、取得にかかる一過性費用[42百万円]、企業結合日に受け入れた資産[540百万円]・負債[550百万円]となっています。
Q.
ホビーサーチ社の買収額の妥当性について教えてください
手続面ではM&Aにおいて第三者的立場の専門家による理論株価算定を行い、当該株価を上回らない価格で契約しています。加えて、実質面でも当該株価算定の基礎となったホビーサーチ社の買収後の業績予想を上回る業績を達成しています。以上から、買収額は妥当であったと判断しています。